私を襲ったあるエネルギーは、見事に生きる気力を奪っていった。

「どうせ何もできない」

自分の力では太刀打ちできない大いなるものに対するあきらめ。
圧倒的な無力感は、絶望と呼ぶにふさわしい感覚だった。


その男は、畑仕事をしながら家族を養っている
60代ぐらいのやせ形の日本人のようだった。
言葉はなまっているからどこか地方なのだろう。
決して裕福とは言えない生活ぶりがうかがえる。

一体何があったのだろうか。

自然災害だったようだ。
どうしようもなかった。
逃げることも、ふせぐことも、到底できない。

そして、すべてを奪われた。
妻の行方が分からなくなったようだ。

荒れ果てた大地の前に立ちすくみ、
悲しみと、無念と、無力感と、
そして、神が起こした運命のむごさに、怒っている。

「なぜなんだ。なぜこんなむごいことをするのか。あなたは何を考えているんだ。
 私からすべてを奪って、どうしろというのか。
 それでも、生きろというのか。なぜ俺も殺さなかった? なぜ生かした?」

色とりどりの四季をみせてくれた景色も
生活の中にあった妻の笑顔も
一瞬にしてすべてが消えた。

そして世界は灰色になった。

色もなく、冷たく、厳しい世界。
そこから去ることも神は許してくれなかった。

地獄なのでは、なかろうか。


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